演劇
theater

この3月に歌舞伎が渋谷ジャック、シアターコクーンとPARCO劇場で同時期上演の快挙へ
2006/03/06 | yama

小劇場出身の演出家である串田和美、三谷幸喜と組み、歌舞伎が渋谷を占拠。勘三郎が「東海道四谷怪談」で、染五郎が「決闘!高田馬場」で、新しい扉を開く。

3月の渋谷が歌舞伎に覆われる。PARCO劇場では、3月2日からPARCO歌舞伎と題し「決闘!高田馬場」が上演中。三谷幸喜と組んだのは、若手のなかで抜き出た人気と実力をもつ市川染五郎。若手のなかでは、市川海老蔵、尾上菊之助、中村七之助、中村獅童らも実力あるが、歌舞伎では抜群の魅力発する海老蔵がドラマなどではさっぱりなのに対し、映画などで個性的な演技をやらせるとピカ一な獅童は歌舞伎ではきまらない。菊之助と七之助の女形は見事だが、トータルでは、やはり染五郎に軍配が上がりそう。昨年の勘三郎の襲名披露公演で最も輝いた「髪結新三」でも、小悪党の新三のつるむ役を巧みに演じ、散々だった襲名興行の名目を保った。歌舞伎座では、父である松本幸四郎との共演が多いが、今回は若手中心のキャスティング、中村勘太郎らと共演だ。

一方、お馴染みコクーン歌舞伎は、再び勘三郎(当時は勘九郎)と組んで、94年に始まった串田歌舞伎の第一弾「東海道四谷怪談」を再演する。3月18日から実に1ヶ月超のロングランで、4月24日まで。05年は、襲名披露興行などあり、中村福助が主演を務め「桜姫」を上演したコクーン歌舞伎だが、やはり串田×勘三郎コンビが待望されていた。このコンビでは、昨年も歌舞伎座で8月の納涼歌舞伎に挑戦、「法界坊」をかけていたが、シアターコクーン登場は、2003年の「夏祭浪花鑑」以来。ちなみに同作品は、平成中村座としてニューヨーク公演も行った彼等の代表作。この3~4月公演は、第一弾となった「東海道四谷怪談」をもってきたことで、初心に帰る意味合いももたせているが、「南番」と「北番」を設け、新たな挑戦もしっかり入っている。

ともに、忠臣蔵の元禄期を舞台にした作品で歌舞伎が渋谷を覆う。実は、同時期に国立劇場では、猿之助による「當世流小栗判官」が1部2部で昼夜ぶっ通しで上演する画期的な試みも用意され、もちろん歌舞伎座では襲名したばかりの藤十郎、そして幸四郎、仁左衛門の出る「三月大歌舞伎」もあり、人気の過熱気味さえ感じられる。渋谷での公演は、いずれも小劇場出身者が手がけている点が象徴的。「決闘!高田馬場」は、東京サンシャインボーイズを率いた三谷幸喜、「東海道四谷怪談」はオンシアター自由劇場で演出を続けた串田和美。もちろん代表作の「上海バンスキング」もコクーンで上演をしていた。圧倒的な創造性を誇る小劇場の力を借りて、歌舞伎が時代を取り込み、見事蘇った象徴的な3月の公演となりそうだ。

http://www.parco-play.com/web/play/kabuki/
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/event/kabuki7/